川を枕にして石で口をそそぐ

日々曖昧にしている感情を言葉にする独り言のようなページです

女子小学生のかかとについている車輪のあれ

先日公園を歩いていると、同じ姿勢を保ちながら平行移動してくる女子小学生に出くわした。最近よく見る光景だがどうやら靴のかかとについてる車輪のあれを使っているらしい。

 

梅の花が咲き始めた陽気な春を感じさせる公園で、楽ちんそうに滑りながら移動するその動きは、とても軽やかでうらやましくなぜ成人男性用のかかとのあれがないのかとても気になった。女子小学生の骨盤の形に最適なシステムなのか?体重の軽さがちょうど良いのか?くだらない考えを思案していると、また女子小学生が向こう側から平行移動してくるのを見かけた。本当にいろんなところに出没するなと思ったとき、その姿に些細な違和感を感じた。どうやら地面を蹴って加速することをしていない。別に下り道なわけでもない。なぜ、その女子小学生は加速もなしに平行移動し続けることができるのか、謎が解けた瞬間頭に電流が走った。

 

「真実はいつも一つ」コナン君はそう言っている。それは簡単な推理だった。なぜなら女子小学生の右手につながれた手綱を、懸命に引っ張るチワワがいたのだから。もうそれは必死である。女子小学生とはいえ、人一人をチワワが引っ張らなければならない。力積的に考えてみてもわけがわからない。体重の10倍以上がある物体を、生まれたての子鹿のような足で必死に引っ張っているのである。

 

衝撃も冷めやらないままに呆然と立ち尽くしていると、全力で走るチワワに引かれて、女子小学生は優雅に賑やかな公園の奥に消えていった。鬼のような形相のチワワ。軽やかにすべる女子小学生。切れの良い動きで拳法の練習をする太ったおっさん。朗らかな昼下がりに出くわしたおもしろい風景。事実は小説よりも奇なり。そんなお話。